2013年度大会

第8回研究大会(2013年開催)のお知らせ

日時: 2013年6月8日(土)、9日(日)
場所: 名古屋学院大学名古屋キャンパス白鳥学舎翼館
(アクセス: http://www.ngu.jp/outline/access.html)
参加費:
非会員: (1日につき) 1,000円
正会員: 1,500円
学生・院生: 500円
懇親会: 4,000円

タイムテーブル

1日目 2013年6月8日(土曜日)

12:15 – 受付
12:45 – 13:30 総会
14:00 – 16:00 一般研究発表
16:15 – 18:15 若手シンポジウム
18:30 – 20:00 懇親会

2日目 2013年6月9日(日曜日)

09:30 – 受付
10:00 – 12:20 シンポジウムI
12:20 – 13:20 昼休み
13:20 – 16:30 シンポジウムII

大会テーマ

「人間関係の新しい紡ぎ方―3.11を受け止めて」

シンポジウム趣意書

東日本大震災(3.11の悲劇)は単に自然災害と20世紀的技術のシンボルともいえる原発がもたらした災害、そしてそれに随伴する人間の生活基盤への被災という災害論を超えて、われわれに自らの役割を再考することを迫った。開発と拡張の世紀を終えて、生活の質を問い直し、膨張する世界人口の中で新たな論理を構築すべき21世紀という構図は、3.11によって脆くも崩れ去ってしまった。3.11は既存の知の体系に対して根底からの疑問と反省を投げかけたのである。われわれが科学技術や産業構造、ひいては人間らしい生活構造に対して抱いていた理性ある存在としての人間らしさは根底からの批判に晒され、再生への道のりは遠いものとなった。そのような社会的環境の激変に呼応するように、人間関係の再生や新しい結びつきが模索され、「絆」という言葉が象徴するように、人と人との関係の結び直しに新しい人間社会の構築のための中心的な課題が見出されるというような主張が声高に語られている。しかし、「絆」は誰かが意図的に、あるいは操作的に繕うような性質のものではなく、個々人の社会的な生活を通して形成されてきた創造的象徴であって、「さあ、みんなで絆を取り戻そう!」などというようなものでもなければ、ヴォランティアが仲介するようなものでもない。いや、それ以前にわれわれの前には、多くの犠牲者とともに災害で家族を失い、自ら辛酸をなめた多くの被災者という名の当事者が存在する。その苦悩を、共に生きる世代のわれわれはどのように共有することができるのか、そしてその先にどのような未来を展望することができるのかということを考えながら、あまりにも過酷な現実を前にして立ち尽くすしかないのである。
しかし、現実に背を向けることはできない。人間関係を新たに紡ぎ直すための手がかりを復興という人間自らの行動を通して、またそれを支える新たな知の体系の構築を通して見出していかねばならない。そもそも生物的存在として自らを認めつつ、人間特有の社会性を獲得し、その上に人間社会を構築してきたわれわれが目指す、次なる生活とは如何なるものであろうか。すえに生物的な基礎から遊離した文明を、われわれはどのように評価し、再創造することができるのか。われわれはどこから来て、どこへ行こうとしているのか。どのような道に次の時代への希望を見出すことができるのか。突きつけられた課題は大きく重い。今回のシンポジウムでは3.11を契機に再考を求められている人間関係そのもののあり方を突き詰める議論を沸騰させたい。

大会実行委員長 木村 光伸

シンポジスト

第1報告:「人間の絆の根底を考える」
岩田 靖夫 氏 (東北大学名誉教授、仙台白百合女子大学名誉教授(哲学))

第2報告:「子どもと青年、家族が出会った複合災害―語ること・語らないこと、聴くことの意味」
横湯 園子 氏 (元中央大学教授、元北海道大学教授、臨床心理士(教育心理学))

第3報告:「祭りと縁―”ともに在ること”の考察」
竹内 潔 氏 (富山大学人文学部准教授(文化人類学))

第4報告:「中山間地域の地域振興、6年間の実習から」
杉山 光信 氏 (明治大学文学部教授(社会学))

総合討論

渡邊 毅 氏 (椙山女学園大学名誉教授(人類学))
片山 善博 氏 (日本福祉大学准教授(哲学))

司会

木村 光伸 氏 (名古屋学院大学リハビリテーション学部教授(霊長類学))
尾関 周二 氏 (東京農工大学名誉教授(哲学))

なお、情報は随時更新してまいります。

 

第7回研究大会(2012年開催)のお知らせ

日時: 2012年5月26日(土)、27日(日)

場所: 日本大学文理学部桜上水キャンパス

アクセス1(キャンパスまで): http://www.chs.nihon-u.ac.jp/access_map.html

アクセス2(キャンパス内部): http://www.chs.nihon-u.ac.jp/about_chs/campus_map.html

参加費:
参加費:
非会員: (1日につき) 1,000円
正会員: 1,500円
学生・院生: 500円
懇親会: 4,000円

タイムテーブル

1日目 2012年5月26日(土曜日)

  • 12:00 – 受付
  • 12:45 – 13:45 総会
  • 14:00 – 17:30 シンポジウムI
  • 18:00 – 20:00 懇親会

2日目 2012年5月27日(日曜日)

  • 09:00 – 受付
  • 09:30 – 12:30 一般研究発表
  • 12:30 – 13:30 昼休み
  • 13:30 – 17:00 シンポジウムII

大会テーマ

「3.11と総合人間学―人間(ヒト)・未来への選択」

シンポジウム趣意書
過去に自然的存在あったヒトは、その進化の過程で道具と言語を生み出し、自然を加工することによって自らが求める生息環境を人為的に創出し、社会的・文化的存在としての人間となった。その結果、このヒトに特殊な進化過程すなわち社会化は人間を、他の動物とは異なり社会的法則のもとでの道を歩ませ、地球生態系での支配的な地位に立たせた。そして、近代における科学・技術の発達に伴う生産力の増大は、人口増加、物質的豊かさとともに自由と人為的欲望の増大をもたらした。
しかし、その背後での自然の一方的な改造・搾取の増大は、人間みずからの存在基盤である地球環境の危機を招いている。このような近代以降の人工生態系の発展は、人間を益々自然から乖離・隔離させ、自然から生まれ人間に内包された生物としてのヒト性に極めて不自然かつ無理な人為淘汰を加えている。このような人間とヒトの矛盾が、現代においては個人の心身および社会の病理となって噴出している。
本学会は2006年に設立され、人類がこのような地球レベルと種レベルの両面で深刻な危機に遭遇していることに着目して議論を深めて来た。我々はまさにそのような状況の中で3.11に遭遇したわけである。この未曽有の自然および人為災害は、単なる想定外の出来事としてではなく、これまでの”豊かさ”と便利さを求め経済発展を優先してきた近現代人の生き方の結果として捉える必要がある。
そして3.11が、人間(ヒト)にとってより〈自然〉な生き方とは何か、真の豊かさとは何か問い直し、より深い自然観に基づいて自然と共生する新たな文明を創出することが焦眉の課題であることを、現実を持って我々人間に突き付けたといえる。
そこで、本大会では3.11を総合人間学的に考察し、新たな文明の創出を展望したい。

大会実行委員長 長谷場 健

シンポジウムI -1 「専門家の社会的責任のあり方」

「構造災」の科学社会学―発電用原子炉をめぐる決定不全性」

松本 三和夫 氏 (東京大学大学院教授(科学社会学))

コメンテーター 上柿 崇英 氏 (大阪府立大学准教授(社会哲学))

シンポジウムI -2 「科学・技術のあり方」

「3.11以降の科学技術と人間」

野家 啓一 氏 (東北大学大学院教授(哲学)、本学会顧問)

コメンテーター 山村 陽子 氏(東洋大学研究員(環境共生学))

シンポジウムII -1 「自然と人間(ヒト)のあり方」

「人間らしさの生態的基礎―己家畜化論の再検討として」

木村 光伸 氏 (名古屋学院大学教授(地域生態論・霊長類学)、本学会理事)

コメンテーター 平山 満紀 氏(明治大学准教授(社会学・身体論))

シンポジウムII -2 「文明のあり方」

「近代の人間観からアニミズム的思考へ」

佐藤 節子 氏 (青山学院大学名誉教授(法哲学)、本学会理事)

コメンテーター 太田 明 氏(玉川大学教授(教育学))