特定秘密保護法案に対する総合人間学会の反対声明

総合人間学会
会長 小原秀雄
運営委員会
2013年11月22日

「情報化社会」と言われる現代社会は、情報公開と透明性こそが求められている開かれた社会、市民の参加こそが求められる民主社会であるといえます。

ところが秘密保護法は情報に目隠しし、それを漏らしたり、知ろうとする者を厳罰にし、マスコミ関係者の報道の自由はもとより、研究者・教育者の研究・教育の自由、市民の言論の自由も大きく損われることは必至です。それはそのまま国民の真実を知る権利の侵害につながるものです。

さらに情報管理と公共の安全の名のもとに人々のプライバシーにも介入し、たとえば原発や防衛問題そして政治の問題にはうっかりおしゃべりもできない空気が広がっていきます。その萎縮、自粛効果も立法の狙いのひとつなのです。

この法の効果は社会の安心安全を保障するどころか、逆に疑心暗鬼をつのらせ、現在の私たちの憲法がめざす、自由にものが言える、安心安全な社会に逆行するものだと言わざるをえません。

私たちは自由を愛する人間のひとりとして、真理真実を求める研究者のひとりとしてこの法案の廃棄を求める者です。

私たちの総合人間学会は広く人文学、社会科学、自然科学に関わるものが参加しており、環境、戦争、平和など現代の枢要な諸問題に関心をもち、全体として、人類と自然の根本的関係や,人間とその生き方を歴史(人類史、自然史をふくむ)と社会(地域、国、世界)を通して総合的に考えることを課題とする学会です。

以上のような理由から、本学会は、研究と教育の自由が侵されることを危惧し、この法案に反対します。

以上

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